誉田哲也『ストロベリーナイト』
植え込みに放置された青いビニールシート。中に包まれていたのは惨殺された男の死体。捜査一課の主任警部補姫川玲子も自らの班を率いて捜査本部に参加する。事件は次々と過去の死体を呼び起こし、それらには奇妙な一致が見られた・・・
魅力的でおもしろい登場人物が揃ったサスペンス。
その際たるものは、主人公である玲子その人です。過去の悲劇を抱えながら、殉職して警官の想いとともに敢然と事件に立ち向かっていくその姿が頼もしい。そのほかにも公安上がりで口も態度も悪いガンテツこと勝俣、軽薄かつ立ち回り方が絶妙な所轄の井岡、玲子に思いを寄せる菊田など、なかなかおもしろいメンバーがそろっていて、楽しませてくれます。
また、少しずつ明らかになっていく事件もとても魅力的。どうしてあんな場所に放置されていたのか、死体の腹部がえぐられている理由は? そんなことから発展していく事件がどんな風に、どんな真相を披露するのか、期待させられます。ただし、玲子はどちらかというと直感で事件を解決してしまう天才肌。その直感が見事に生かされてしまって、あれほど捜査が進まなかったのにあっさりと犯人に行き着いてしまうのは残念でした。
昨今ちょっとした流行になっている警察小説。その中でも一風変わった作品ではないかと。気が向いたら読んでみてください。ただし、グロテスクな描写があります、要注意。
続編も出されているようなので、文庫になった頃に読もうと思います。
- 乱雑な本棚さま(2010.02.25追加)
ストロベリーナイト (光文社文庫) | |
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