入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』

 この街にはふたりの犯罪者がいる。片方は連続殺人犯。もう片方は小学生の兄妹を連れ去った誘拐犯。そして幼馴染のまーちゃんと一緒に暮らすことになった僕の目の前には、今、足に枷をはめられた小学生くらいの男の子と女の子が・・・


 おもしろい、と表現していいの? これは。
 8年前の誘拐事件によって心に傷を負ってしまったまーちゃんとみーくんの物語。
 ミステリとホラーのおいしいとこ取りをしようとして、結果的にどっちつかずになってしまったような印象があります。ミステリを狙うならもっとみーくんの嘘を効果的に使っておもしろくできた気もするし、ホラーを狙うならもっとカバー裏のような色合いを濃くすべきだったのでは。どちらも薄いから中途半端に思えます。
 また、後半のもっとも盛り上がるべき部分が理解しにくく、それ故にイマイチ乗り切れませんでした。
 みーくんと奈月さんあるいは恋日先生との会話はテンポよく、ウィットに富んでいて楽しめたのですが。


 会話といえば、随所に他作品へのオマージュと思しき会話が出てきて楽しませてくれます。

「待ち合わせは何処にしましょうか」
「暗いところで」(P121)

なんて具合。*1
 謎解きや怖さよりも会話の楽しさに興味がいってしまうのは、この作品にとって不幸なことかもしれません。

2008年11月28日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫)
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starあ、おもしれ〜
starラノベに飽き気味の方にオススメ。
star読みにくい
stars「嘘の罪で殺されるなんて、狙いすぎなほどだ。」
starsいや……嘘だけど?

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*1:乙一『暗いところで待ち合わせ』より