小路幸也『モーニング Mourning』

 事故死した大学時代の仲間真吾の葬儀のあと、レンタカーに乗り込もうとする淳平は突然言った。自殺する、と。思いとどまらせるためにダイ、ヒトシ、ワリョウの三人は予定を変更し、福岡から東京への道のりで自殺の理由を思い出そうとする。淳平を喪わないための交換条件として・・・


 大学時代の仲間たちが、20年以上経ってその頃を回想しながら福岡から東へと走り続けるロングドライブです。その頃に起因するという淳平が自殺すると言い出した理由を探して。
 物語はもっぱら大学時代の思い出話で進み、ドライブであるとか淳平の理由というのはほとんど二の次。まるで小路さんはこういった学生たちを書きたかったのではないかと思うほど、その思い出は輝きに満ちています。楽しいこと、嬉しいことばかりでなくつらいこと、悲しいことも。
 こういった青春時代の回想で構成された作品を読むと、いつも同じ頃の自分を思い出してしまいます。今回もそう。これほどに輝き、充実した学生生活ではありませんでしたが。
 もちろん、物語は回想だけではありません。最後にはこのドライブの発端、すなわち淳平が自殺すると言い出した理由も明らかになります。これには唖然。思わず数ページ読み返してしまいました。でも、確かにそういうものかもしれません。この理由には妙に納得もさせられました。


 小路さんの作品からは、いつもノスタルジックで少し切ない印象を受けます。それがなんとなく心地よさを与えてくれます。次に読む作品にも、そういったものを期待したいです。

2008年11月2日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
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モーニング Mourning
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