森見登美彦『美女と竹林』

 登美彦氏、竹林経営に乗り出す。作家として行き詰ることを見越した登美彦氏は、先輩である鍵屋さんの荒れ果てた竹林に目をつけた。竹の伐採に奮闘し、締切次朗と死闘を繰り広げ、やがてはカリスマ竹林経営者に。多角的経営の野望は果たして・・・


 これはエッセイなのでしょうか。登美彦氏の虚実入り混じった妄想文です。
 少なくとも、登美彦氏のこれまでの小説を読んでオモチロイと感じる人でなければ、この本を読み通してオモチロイという感想を抱かないでしょう。
 結論から言うと、ぼくにとってはオモチロイ本でしたが、小説のほうがいいですね。これは読者を選びそうです。まあ、少しでも興味があるなら最初の数ページだけでも読んでみるべきでしょう。そこはもうすっかり森見ワールド。


 なかなか切り進められない竹林に恐れおののいたり、あるいはMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)の采配をふるう登美彦氏に敬意を表したりしながら読む中のもひとつの楽しみ方。しかし、「美女と竹林等価交換の法則」に従えば、当初の力の入れ具合の割に進まない竹林伐採よりも、あの本上まなみさんとのあれこれに微笑むのもひとつの楽しみ方。詳細は書かれなかったものの、NHKトップランナー」での本上さんによる朗読は確かに羞恥プレイに違いないでしょう。


 それにしても、「机上の竹林」ってのはいいなあ。本当に癒されそう。ミリオンバンブーじゃなくてね。あれは竹じゃないですから。
 ちなみに、本屋大賞の授賞式で登美彦氏が万城目さんを殴打したのは、きっとおともだちパンチだったのではないかと想像するのです。

2008年10月20日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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美女と竹林
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おすすめ平均 star
star妄想エッセイ暴走中
starどう評価して良いのやら
star伝説の月姫はどこに
stars森見好きのための一冊(?)
starsわけの分からない面白さ

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