竹宮ゆゆこ『とらドラ9!』
雪山で大河の本心を知ってしまった竜児。知ってしまったために、母親のもとから戻ってきた大河に対して今までどおりに接することができない。高二生活もあとわずかとなり、竜児の前には進路問題も立ちはだかる。自分の将来に対して明確な考えを持っていない竜児だったが・・・
うーん。
こんなにあっさりと結論が出されてしまっていいのでしょうか。激しく疑問。もっと時間をかけてもいいと思うし、むしろどんでん返しへの布石のような気がしてなりません。もっとも、ラストがこの展開ではそれもまた難しいか。
それにしても、実乃梨の強さが光りました。ただひたすらに自分の夢を追いかける力。それは自分にとって一番正直なこと。読んでいてちょっと羨ましいほどです。
さあ、行こうか、高須くん。それぞれ行くべきところが、私たちにはある。
こんなふうに言い切れるあたり、頭が下がるような思いです。
また、亜美はけな気で、同時にもろさが伝わってきます。聡明であるがために早くにすべてを悟ってしまい、それで動いた実乃梨と動けなくなった亜美の違い。それは、転校してきたという亜美のバックグラウンドだけでなく、竜児の気持ちの方向も影響していたのではないでしょうか。このまま不戦敗のような形で終るのかな。
このシリーズはさすがにはずしませんね。今まで引っ張ってきた恋愛問題だけでなく、新たに進学や親子の問題と硬軟取り混ぜて、巧みに山場を演出している印象。でも、あれは言っちゃいけない一言だと思いますよ。
ラストはちょっと唐突で予想外でした。これが新たな展開の幕開けなのか、それともエンディングへつながるクライマックスなのか。早く続きが読みたくてたまりません。
関連作:『とらドラ!』『とらドラ2!』『とらドラ3!』『とらドラ4!』『とらドラ5!』『とらドラ6!』『とらドラ7!』『とらドラ8!』
とらドラ 9 (9) (電撃文庫 た 20-12) | |
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