松田志乃ぶ『嘘つきは姫君のはじまり 見習い姫の災難』

 乳姉妹の馨子の命で、馨子の身代わりを演じることになった宮子。姫様修行の一環として、仮御所から出ようとしない「桐壺の更衣」の説得という名目で冷泉院に赴くのだが、そこで宮子はとんでもないものをみつけてしまった・・・


 平安ライトミステリの第2弾。
 今回もあらためてミステリとしての出来具合に感心させられます。この時代性をしっかり活かした道具立てといい、そこかしこに張られた伏線といい、これは本当に拾い物だった気がします。『なんて素敵にジャパネスク』を読んだあとじゃなかったら、きっと手にとっていなかっただろうから、尚更。
 次郎の君(東宮)や蛍の宮、あるいは馨子(和泉の君)のような能力に秀でたスーパーマンがそろっているというのは、いかにもという印象を受けます。ただし、そういった登場人物もしっかり物語の中で消化されていて、あまり違和感はありませんでした。もっとも、彼らを宮様や姫様にしておくのはもったいないような。検非違使とかどうですか。
 また、真幸の影が余りも薄いのはどうかと思います。一応、彼は馨子公認で宮子のお相手ということになっています。しかし、登場シーンも少ないし、あまり魅力的にも書かれていません。その辺、3巻目でフォローされるのでしょうか。


関連作:『嘘つきは姫君のはじまり ひみつの乳姉妹

2008年10月8日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
嘘つきは姫君のはじまり見習い姫の災難―平安ロマンティック・ミステリー (コバルト文庫 ま 10-3)
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