七飯宏隆『タロットの御主人様。』
名門・四阿家の跡継ぎである秋人は、落ちこぼれの占現師。分家の幼馴染・古城結夏にはバカにされ続ける毎日。だが、ある奇妙な依頼を受け、祖母が封印し、解けないと思われたタロットカードの封印を解いてしまったがために、とんでもないトラブルに。解き放たれた22枚のタロットのうち、「隠者」が取り付いたのは結夏だった・・・
カードの力を封印して支配するにも、封印したカードを解放して使うにも、どちらも乗っ取られた人間にキスをしなければならないという、まあなんともお見事な設定。こういうカードを使った作品はマンガやアニメとかほかにもいろいろありそうですが、よく知らないので。
知らないことが幸いしているのかどうかわかりませんが、なかなかおもしろかったです。タロットカードという、自分とは縁遠いものが物語の中心にありますが、難しいことは考えず楽しむことができました。タロットの知識は事前に必要ないですね。
おそらくはメインヒロインになるであろう幼馴染の結夏ですが、これがクールというよりは明らかにツンデレ。とくに秋人が能無しだとバカにされたときに本人よりも怒るあたり、いいですね。秋人がどちらかと言えばへらへらしているのとは対照的です。
一方、クラスメイトで「節制」が取り付いた八久住香澄は、内気でおとなしいけれど思い込んだら頑なという、ありがちなキャラクター。「節制」の力を使って彼女がどうなっていくのか、気になるところです。前髪に隠された美少女ってキャラクターは結構おいしいですね。
また、このふたりと秋人との三角関係を引っ掻き回すジブリールが絶妙なキャラクターですね。
残念なのは、いろいろとあっけなく終わってしまったように感じたところ。2巻が出せるかわからない状況でいろいろ詰め込もうとしたのかもしれませんが、ちょっと拍子抜けでした。「節制」との対決シーンあたりは盛り上がりにかける気がします。あまりに軽快に進みすぎたから、ということではないでしょう。
まあ、これから残りの20人が登場するんでしょうが、このまま同じように封印していくだけじゃ、芸がありません。きっと20人の中にはとんでもない奴がいて、アクセントをつけてくれるんでしょう。ただ、果たしてそこまでたどり着けるのか? プロローグまでがんばれ! 七飯宏隆!
タロットの御主人様。 (電撃文庫 な 11-8) | |
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