氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』
平安の世、名門貴族の娘瑠璃姫は幼い頃を過ごした吉野で出会った吉野君との初恋を忘れられず、独身を貫こうとしていた。だが父の大納言は策を企て、瑠璃姫を無理やり結婚させようとする。弟融の親友衛門佐高彬に助けられ、何とか事なきを得たが・・・
言わずと知れた『なんて素敵にジャパネスク』です。平安時代を舞台に、当時の風習や文化と恋愛を絡めたラブコメといったところでしょうか。
●「お約束は初めての接吻で の巻」
何とか瑠璃姫を結婚させようとする父大納言は、権少将を招いて管弦の宴を催したが・・・なんとも強引な手段を用いた大納言と権少将、それを強引に防いだ高彬。「ぶっちぎり」と言ってしまうところが瑠璃姫らしいですね。高彬の秘めていた想いもまたちょっとかわいらしさがあります。
●「初めての夜は恋歌で囁いて の巻」
兵部卿宮の二の姫との縁談を極秘に進められてしまった高彬。瑠璃姫は高彬と急遽一夜を共にすることに・・・ありがちといえばありがちな邪魔ですね。高彬も疑われることぐらい予想がつきそうなものですが。
●「初めての夜よ もう一度 の巻」
仕切りなおして、いよいよ瑠璃姫と高彬が初めての夜を迎えようかというそのとき、融が太刀傷を負って帰ってきた・・・サスペンス色が濃い中編。物語のスケールも大きくなり、俄然活動的になる瑠璃姫が大活躍します。またしても、なのですが。
とにかく瑠璃姫の設定が魅力的。当時の貴族の姫君は、御簾の後ろに隠れ、滅多なことがなければ人に顔を見せることなどありません。しかし瑠璃姫は館から飛び出し大活躍する、破天荒で快活な姫なのです。
また、高彬と結婚したも同然の関係でありながら、鷹男にも魅かれてしまうという瑠璃姫の心情が手に取るようにわかります。
舞台は平安時代ですが、難しさや堅苦しさはなく、むしろ現代感覚で読みやすい物語です。古文や王朝文学の世界への取っ掛かりには最適かも知れません。
収録作:「お約束は初めての接吻で の巻」「初めての夜は恋歌で囁いて の巻」「初めての夜よ もう一度 の巻」
なんて素敵にジャパネスク (コバルト文庫) | |
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