小野不由美『くらのかみ』
夏休み、本家の後継者を決めるために田舎に呼び出された人たち。父親と一緒にやってきた耕介は同年代の子どもたちと4人で遊んでたが、気付くと5人に増えていた。座敷童子か? 誰が増えたのかわからず大人に確かめようとしたが、親達は食事に混ぜられたドクゼリで苦しんでいた・・・
講談社のミステリーランド第一回配本作品。田舎の因習とか旧家の相続とか、もしかすると横溝正史を意識したのではと想像したくなります。そういえば主人公の少年の名前は耕介。
とにかく登場人物が多く、誰が誰だかわからなくなります。その点を考慮してか大人にはわかりやすい呼び名をつけていますが、気休め程度でしょうか。特に5人の子どもの親は子どもの名前から「○○おじ」などと呼ばれていますが、肝心の子どもが区別しにくいのでどうにもなりません。そこに家系図が挿入されたとしても。
ただし、ミステリとしては極めて本格。子ども向けと侮ってはいけません。積み重ねられた論理がきれいに解決を導き出してくれます。しかも、2つの謎をうまく絡めて。これはなかなかのもの。ただし、座敷童子探しの結末はイマイチ腑に落ちないかも。
座敷童子探し、殺人未遂犯探しの2つが盛られた器に、人魂や軋む井戸、底なし沼のような怪談的要素、あるいは少年探偵団の要素が盛り合わせられた贅沢な一品。子どもだけでなく、大人も楽しませてくれることでしょう。
くらのかみ (ミステリーランド) | |
小野不由美 講談社 2003-07-30 売り上げランキング : 140902 おすすめ平均 座敷童を当てました どっちつかず がっかり!! 増えてしまった子供はだあれ? 待ち遠しいのは夏休み! Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4062705648 |