有川浩『図書館戦争』

 一方的に有害の図書を決め付け、規制する「メディア良化委員会」に対し、いくつかの自由を楯に武装した公共図書館。かつて書店で図書隊員に助けられたことのある笠原郁は図書隊員に憧れ、女性でありながら過酷な図書隊員になった・・・


 現代日本では考えられない「メディア良化法」。おそらくこれに反感を覚えた時点で作者の思う壺、僕の負けだったのでしょう。一言で表現するなら、はまった。
 そもそもこういった荒唐無稽な設定の場合、読者をその世界にどれだけ引き込むことができるのかがポイントでしょう。その点この『図書館戦争』は、「メディア良化法」というおそらく本を読む者の多くが反発するような小道具を用いることによって、グイグイと力強く引きずり込んでいくのです。


 『図書館戦争』というちょっといかめしいようなタイトルがついていますが、中身は図書館と戦争を使ったラブコメといったところでしょうか。読んでいて随分昔のドラマ『スチュワーデス物語』を思い浮かべました。有川さんが目指した「月9連ドラ風」というコンセプトは概ね達成されているということでしょうか。
 郁の王子様の正体なんてあまりにもあからさまなのですが、ここからどういう風に持っていくのか、すごく気になります。あと3冊。おまけに別冊まで。真実を知ったときの郁の反応が楽しみ。
 あくまでラブコメでエンタメですから、検閲や規制といった重い問題に深く切り込んではいません。その点若干物足りなく感じるかも。でもいいじゃないですか、楽しければ。それではいけませんか?

2008年4月13日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
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図書館戦争
図書館戦争有川浩
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おすすめ平均 star
starまさに人権擁護法案の再現
star面白さ半分しか理解できないのでは?
star一気に読んでしまった
stars興味深い。
starsテレビアニメ化ってことで読んでみたが

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