三上延『モーフィアスの教室2 楽園の扉』

 綾乃は授業に出ないことを注意され保健室にいられなくなってしまった。綾乃の傍でないと悪夢により熟睡できない直人にとっては困ったことだ。そこで綾乃は直人の家に居候することを決めたのだが、直人の妹水穂はそれに反発した・・・


 重々しいというか、暗い雰囲気の中で話が進む作品。今回は綾乃の弱い部分が強調され、1巻にもまして重く暗く、そして地味な気がします。扱っている題材が悪夢ですから、当然といえば当然。モノクロの映像の中で、赤い目だけが鈍い光を放っているというところでしょうか。
 秘密を公にすることに対する不安、そしていつかはここを立ち去らなければならないということに対する悲愴感がいつも強気でわが道を行く綾乃の弱さを作り出していて、一先ずキャラクターの厚みを出すことに成功しているようです。対する棗や水穂はこれからどういう形で夢神や事件に絡んでいくのか、気になるところです。


 物語としてはなんともあっさりとしすぎていた印象は否めず、1巻のような盛り上がりには欠けたようです。むしろ、綾乃との同居に反発する水穂の印象が強すぎて。今後に期待、でしょうか。


関連作:『モーフィアスの教室

2008年3月17日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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