はやみねかおる『そして五人がいなくなる』
隣の家に出された表札には<名探偵 夢水清志郎>と書かれていた。名探偵を自称する男と三つ子の姉妹が出会うのは巨大遊園地での少女消失事件。しかも、伯爵と名乗る犯人は五人の消失を予告してみせたのだ。「謎はわかった」と豪語する名探偵はどうするのか・・・
青い鳥文庫で登場以来12年、ついに講談社文庫入りした「名探偵夢水清志郎」シリーズ第1作。
もともと青い鳥文庫だっただけに、読み手として低年齢層が強く意識されているようです。語り手として三つ子姉妹の長女亜衣が設定されていたり、夏休みに遊園地で少女が誘拐されるというあたり、あるいは平易な語り口とか。わかりやすいストーリー構成や善悪関係もそうですね。いくら宮部さんが帯で「はやみねかおるさんは子供たちだけのものではありません。」なんて言っていても、子供たち向け作品であることは確かでしょう。
ただし、それは「子供だましである」というわけではありません。難解とはいえないもののそれなりに作りこまれ、大人が読んでもしっかり楽しめるものになっています。この辺のバランスが見事。
また、夢水清志郎と伯爵の関係はそのまま明智小五郎と怪人二十面相のようで、ならば捜査に協力する三つ子姉妹は少年探偵団の役どころでしょうか。古の子供向け探偵小説を現代のジュブナイルミステリにアレンジしたかのようで、好感が持てます。
常に警察を小馬鹿にし続けている夢水が一時的にでも警察と手を組んだり、あるいは上越警部がこの事件の解決についてのよき理解者であることもいいですね。
- booklines.netさま(2007.12.25追加)
そして五人がいなくなる<名探偵夢水清志郎事件ノート> (講談社文庫) | |
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