太田忠司『ミステリなふたり』

 愛知県警に勤務する警部補・京堂景子は、その冷静沈着な態度と容赦ない捜査から「鉄女」「氷の女」などと影で囁かれていた。そんな彼女もひとたび帰宅すると若い夫・新太郎にメロメロ。彼は自宅勤務のイラストレーターで、家事が得意なだけでなく、どんな難事件も解決する名探偵だったのだ・・・


 安楽椅子探偵ものを中心とした10の短編。各編とも短めで、さすがに特別な目新しさを感じるものはないものの、要所をキッチリと押さえていて、それなりに楽しませてくれます。
 基本は刑事である景子が遭遇する一風変わった厄介な事件を、家で待つ新太郎が推理し、ひとつの結論を導き出すと言うパターン。新太郎が必ず犯人まで特定するとは限りませんが、時には限りなく犯人に近いヒントを出すときもあります。
 各編のタイトルにあるような変わった事件ばかりなのですが、中でも「じっくりコトコト殺人事件」はかなり異常な状況かと。また単純なワンヒントをもとに真相にたどり着くものが多いのも特徴でしょうか。
 また、異色な存在の「ミステリなふたり happy lucky mix」もちょっと違った意味で楽しませてくれます。


 もっとも、この作品の本当の魅力は景子と新太郎かもしれません。職場と自宅で二つの顔を持つ景子と、彼女を支えながら謎を解く新太郎。このふたりの関係が絶妙です。
 読みやすく、気軽に読める短編集です。続編も書かれているようで楽しみ。


収録作:「ミステリなふたり」「じっくりコトコト殺人事件」「エプロン殺人事件」「お部屋ピカピカ殺人事件」「カタログ殺人事件」「ひとを呪わば殺人事件」「リモコン殺人事件」「トランク殺人事件」「虎の尾を踏む殺人事件」「ミステリなふたり happy lucky Mix」

2007年12月16日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
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