ひびき玲音、鈴本紅『カレン坂高校可憐放送部 導かれた解答』

 突然校長を誹謗中傷する放送が流され、鍵のかけられた放送室では愁也が倒れていた。回復した愁也は警察から事情聴取を受けるが、襲われたときのことを憶えていない。果たして愁也を襲ったのは誰なのか。そして、どうして校長を中傷するのか・・・


 普通の学園小説と思いきや、ジェットコースターのような驚愕の展開で一気にミステリー色を前面に打ち出したのが前巻でした。
 で、『導かれた解答』というタイトルから、事件解決二巻完結を予想したのですが。
 ・・・全然そんなことない。
 全く、と言っていいほど事件は進展しない驚愕の展開。進んだ、と言っても全然ミステリじゃない。解答は導かれるどころか解きだす前に選択肢が増えたり取り替えられたりした模様。
 タイトルによる先入観がなければそれなりに楽しめるかもしれませんが、先入観を持ってしまったがために完全な肩透かしでした。この先ミステリらしくなるのかもしれないけれど、その期待は薄いのかな。


 なちる以外の4人が各章ごとに交代する一人称。視点や感情にそれぞれの特色がよく出ていて、この使い方はよかったです。でも、せっかく多人数のメンバー構成なんだから、探偵団してほしいところ。


関連作:『カレン坂高校可憐放送部

2007年11月17日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ
カレン坂高校可憐放送部―導かれた解答 (コバルト文庫 (ひ8-2))
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