新津きよみ『ユアボイス 君の声に恋をして』

 新任美術教師の岡里菜は、赴任先の生徒、五十嵐薫の声に耳を疑った。彼の声は、二年前に何者かに殺害された恋人の伸の声そのものだったのだ。三年生で受験を控えていた薫だったが、里奈が顧問を勤める美術部に入部を希望する。そのことが、薫の従妹の珠緒にはおもしろくなかった。


 理論社から刊行されている「ミステリーYA!」の1冊。新津さんの長編を読むのは初めてです。
 新津さんに限らず、この「ミステリーYA!」の執筆者の方々の中には、当然ながらヤングアダルト向けの作品を書いた経験の少ない方も多いことでしょう。新津さんもそうなのでしょうか。
 全体としていろいろなものを詰め込もうとして、その分中途半端になってしまったような印象を受けました。大筋はものすごくシンプルなものなのです。
 いろいろ詰め込んだ要素が、作品全体の雰囲気作りに影響を与えていることはもちろん理解できます。しかし、どうしても伏線を探すような読み方をしてしまうために、雰囲気作り以上のものを期待してしまい、結果として物足りなさを感じました。


 どうにも読み方をまちがえた気がして、もったいなかったかもしれません。爽やかな青春ミステリです。決して悪くはない作品だと思うのですが。

2007年11月11日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ
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ユアボイス―君の声に恋をして (ミステリーYA!)
[rakuten:book:12207412:image]新津きよみ
理論社 2007-09
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