柴田よしき『やってられない月曜日』

 大手出版社に勤めるOLの高遠寧々は、エリートぞろいの社内でコネ入社であることを後ろめたく感じていた。もうすぐ三十路、けれど彼氏もいないし見た目もイマイチ。気の合う同僚はいるけれど、肩身の狭い思いをしながら経理部で働く寧々に、会社での悩みだけでなく、社内のちょっとした事件が降りかかってくる!


 コネ入社のOLが奮闘するワーキングガール・ストーリー。とすれば当然でしょうか、『ワーキングガール・ウォーズ』ともつながっているようです。
 おそらく、どんな企業でもある程度の規模になれば従業員の間に階層のようなものができてくるでしょう。それは、学歴によるものだったり、役職によるものだったり、血筋や縁故によるものだったり。
 しかし、それぞれの立場によって物事の見方は異なり、コネ入社のOLだからこそ見えてくるものもあるはずです。取り上げられるのは、そういった社内のパワハラだったり不倫だったり。決してコネ入社のOLが、突然出世したり、玉の輿に乗ったり、社内クーデターを水際で阻止したりするような話ではありません。


 寧々は非常に地味で平凡なキャラクター。物語を進めていくのに向いていないのではないかと懸念もしました。しかし、それでも読ませてしまうのが柴田さんの巧さですね。いつものことながら読みやすい文章もうれしいです。
 ユーモラスで、そしてちょっと切ない物語。ただし、ミステリ成分はかなり薄めですので、そちらは期待しない方がよいでしょう。


収録作:「やってられない月曜日」「誰にもないしょの火曜日」「とびきりさびしい水曜日」「甘くてしょっぱい木曜日」「それでもうれしい金曜日」「命かけます、週末です。」「またまた、やってられない月曜日〜エピローグ」

2007年10月10日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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