日向まさみち『本格推理委員会』

 マンモス校・木ノ花学園に入学した城崎修は、理事長の木ノ花あざみから学園内の事件を調査する「本格推理委員会」に入ることを強要される。拒みつつも委員会と行動を共にし、小学部での幽霊事件の解決にカメラを担いで文字通り力を貸す城崎だったが・・・


 第1回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。ライトノベルとミステリの融合体として、なかなか興味深くおもしろい作品でした。
 人物や状況の設定にライトノベルの風味が強く出されているけれど、決してそれだけではなく、『本格推理委員会』というタイトルが示すように真正面から本格推理に挑もうとしているようで、そこには非常に好感を持ちました。


 ただ、ライトノベルとミステリのどちらが主でどちらが従だったのかわかりませんが、ミステリ側から考えると、ライトノベル風味の味付けが濃く、ミステリとしての要素は薄く感じられてしまいます。
 また、これほど多くの人物を登場させる必要があったのか、疑問に思う部分もあります。これがシリーズものとしてつづいていくのならともかく、第2作が発表されていない現状ではそれも期待薄か。いや、まあ登場人物を増やすことに意味があるという考え方もあるかもしれないですけど。
 もっとも、それぞれのキャラが立っており、会話もテンポよく進むのであまりそういったことを欠点のように強く感じずに済むのも利点でしょうか。


 まだまだ若い書き手ですし、のびしろも十分にありそうなので第2作を書いてほしいところです。

2007年8月10日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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おすすめ平均 star
star浅く多くに広げすぎ
star残念
stars今後に期待をこめて
starsいまは薄味
stars何故こんな物が受賞できたんだろう・・・。
stars穏やかなミステリ
stars幸せな事件

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