谷川流『涼宮ハルヒの消失』
そこにはいるはずの人がいなかった。涼宮ハルヒ。クラス中の誰もがそんな人はいないと言う。おかしい。長門も朝比奈さんも変だし、古泉はどこにもいない。もちろんSOS団もない。そして、いるはずのない人がいた。朝倉涼子だった。
シリーズ最高傑作! なんて評判も聞いていたシリーズ第4作。その評判どおり、なかなかおもしろい作品に仕上がっていました。
『憂鬱』『溜息』『退屈』という過去3作が見事に伏線として機能しています。特に『退屈』に収録されていた「笹の葉ラプソディ」が再構成されて取り込まれています。この辺が当初から予定していたことなのか、それとも後から拾い集めているのかわかりませんが、とにかくキッチリカチッときれいにはめ込まれた印象なんです。
また、「やれやれ」といった風につねにSOS団を見つめ続け、ハルヒによって事件に巻き込まれ続けたキョンが、必死になってハルヒに会おうとしたり、元の世界に戻そうとするのが印象的でした。SOS団やハルヒ他、キョン自身がおかれている摩訶不思議な世界の全肯定ですからね。
ちなみに、今回大活躍の長門ですが、今までどおり無口な方がいい気がするんですけど。その方がらしくて。第一、それが長門有希の構成要素じゃないんですか。
関連作:『涼宮ハルヒの憂鬱』『涼宮ハルヒの溜息』『涼宮ハルヒの退屈』
涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫) | |
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