木本雅彦『声で魅せてよベイビー』

 孤高のハッカーを自称する高校生広野は、同人誌の即売会で腐女子を自称する声優の卵姫野沙奈歌と出会う。しかも、成り行きで沙奈歌の恋人を装うことになってしまった。まったく趣味も考え方も違う二人は成り行きのまま恋人を演じ続けるが・・・


 第8回えんため大賞佳作受賞作。
 読んでいてなかなかおもしろかったのだけれど、これってよくよく考えると孤高のハッカー腐女子で声優の卵っていう要素を取っ払うと、いたってよくある典型的なボーイミーツガールじゃないかと。ひょんなことから出会った二人が恋人を演じ・・・っていう。
 だからといってこの作品の評価が落ちるわけでなく、むしろそのパターンでおもしろく読ませているということが重要なのではないかと。
 散りばめられた子ネタの数々、テンポのいい文体、無理のない展開となかなかで、その中にハッカーと声優の卵という要素が上手く絡められていて納得の出来。特に、広野の抵抗はハッカーとしての知識と技術だけでなく、最終的に自分の体を使っているのがよかったです。もしそうでなかったらイメージは全然違っているのでは?


 あと、沙奈歌も言っているけれど「Y」とか「N」とか答えるのはどうかと思うのです。チャットじゃないんだし、違和感がありすぎます。
 コンピュータやアニメについて詳しかったらもっと楽しめたかな。

2007年5月16日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ

【感想拝見】

おすすめ平均
stars物語を作る上において一番大切なこと
stars逃げ道を用意しない、ただ背中を押す。
stars俺は孤島のハッカー
stars面白いですよ。
starsそのまんま

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