鷹野祐希『秋津島 斎なる神のしもべ』

 鹿島神古流道場の娘として育ち、武芸一筋で奥手だった少女・佐唯。やっと始まった秋人との恋はゆっくりで、手を繋ぐことすら慣れない。しかし、そんな幸福な日々は唐突に終わりを告げる。佐唯の身に降りかかる惨劇は、彼女から日常というものを奪い去った。妹のようにかわいがってきた祥姫に襲われ、秋人を喪ったのは戦いの幕開けに過ぎなかった


 「巫女武侠」というコードネームで書かれたという鷹野さんの新シリーズは、神話の時代から続く対立をモチーフとしたジャパネスク伝奇ロマンです。


 さて、読んでみるととにかく頭に入ってこないのが天孫と地祗の対立。古事記だとか日本書紀だとか、そういった方面の知識や素養が皆無な人間なので、国譲りとか言われても全くピンとこない、チンプンカンプンなのです。
 普段ならこういうわかりにくい専門的な話は読み飛ばすこともできるのですが、今回ばかりはこれが作中で重要な知識であろうことは明白なので読み飛ばすこともできません。しかし、幸いなことに主人公の佐唯も全く知識を持ち合わせておらず、話が進むにつれ徐々に知識を吸収していくという設定。まるで初心者や子ども向けの専門書を読むような要領で、後半はわりと飲み込みやすくなりました。


 とはいえ、扱っているモチーフの大きさから考えると、壮大な物語になることは明白。これから先、どんな風に展開していくのか、期待と不安がいっぱいです。シリーズものの1巻目というのはいつも評価しにくいのですが、今回はいつにも増してそんな気がします。微妙です。とりあえず、次は読むと思います。だって、気になりますもん。

2007年4月26日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ

asin:4797341696 rakuten:book:12041465