大崎梢『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ・出張編』

 老舗書店に幽霊が出る! 元同僚の美保から「まるう堂」の危機を聞いた杏子は、渋々ながらもアルバイトの多絵を伴い信州に赴いた。まるう堂に出現するという幽霊は、店主たちを驚かせるだけでなく、老舗書店に存続の危機をもたらしている。しかも、事件は27年前に老大作家が殺害された事件も絡んでいるのではないかと噂されていた。


 前作『配達あかずきん』同様、東京創元社ミステリ・フロンティアとして刊行された作品。


配達あかずきん』が杏子と多絵が勤める成風堂書店にまつわる書店の謎を解いていく短編集だったのに対し、『[rakuten:book:11914616:title]』は信州のまるう堂で過去が絡んだ事件を解く長編と大きく様変わり。
 ミステリとしてスケールが小さい点を書店の楽しさでカバーしていたのが前作だったと思うのですが、謎は大きくなったものの正直なところ「書店員じゃなくてもいい謎」になってしまったようです。前作の良さが失われてしまったようで残念でした。どんなに出来がよい作品に仕上がっていても、前作を読んだ人が期待していたのはそこだと思うので。


 出来は本好きとして楽しい部分も多々あるけれど、長い短編の域を出ない。どうやら日常の謎を解く短編のほうが楽しませてくれる気がします。それが大崎さんの作風全般なのか、それとも杏子と多絵というこのシリーズキャラクターに限ったことなのかわからないのですが。


関連作:『配達あかずきん

2006年12月28日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ

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stars読み応えあり
stars思いから思いへ
stars悪くはないけど
starsもったいぶらないで!・・・イライラ!!
stars引っ張り方が…

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