橋本紡『ひかりをすくう』
仕事をやめ、田舎の一軒家での生活を始めた智子と同居人で主夫の哲ちゃん。デザイナーだった智子は、仕事に熱中しがんばりすぎたためにパニック障害を引き起こしていたのだった。がんばらないようにがんばる二人の日常。
仕事をやめて田舎に引っ越すというのは、とかく競争社会からの脱落のようなネガティブなイメージでとらえられがちです。年配の方ならともかく、若い人ならなおさら。しかし、この二人の場合は脱落でも逃亡でもなく、脱出への挑戦のような感じです。いろいろな点でネガティブには感じられませんでした。
では、自分の身に置き換えてみるとどうでしょうか。仕事をやめ、田舎で暮らす。そんなことができるでしょうか。もちろん、できる人もいるのでしょうが、様々なしがらみを断ち切って行くことはなかなか難しいでしょう。そういったところから、ちょっと現実感が薄いというか、パラレルワールドのような雰囲気を感じてしまいました。
『ひかりをすくう』は橋本さんの半自伝的な作品だと聞いています。きっと自身を智子に置き換えられたのでしょうが、だとしたらとても幸福な生活ではないでしょうか。
余談ですが、足の大きさが左右で1センチも違ったら、靴を履くときとか買うときとかに気付くと思います。
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