大倉崇裕『白戸修の事件簿』
大切な試験の前日、突然友人がやってきた。彼は殺人の容疑をかけられていたのだ。善良な大学生である白戸修にとってはいい迷惑だが、お人よしの彼にとっては見過ごすことはできなかった・・・
第20回小説推理新人賞受賞作「ツール&ストール」を含む連作短編集。旧題『ツール&ストール』を文庫化に伴い『白戸修の事件簿 (双葉文庫)』に改題。
スリ、ステ看、銀行強盗、ストーカー、万引きと数々の犯罪行為に巻き込まれていく白戸。誰が呼んだか巻き込まれ探偵。
もっとも、白戸自身は探偵と呼ぶにはそれらしき活躍は少なく、巻き込まれた事件にそのまま引きずり回され、事件に波風を立て、最終的に解決してしまったという感じです。よって、探偵としても当然無自覚。
扱われている事件はほとんどが軽犯罪(銀行強盗もあるけれど)。短編ですし、どうしてもインパクトは薄くなってしまいます。
ただ、最後に明らかになる事件の真相への展開は大変おもしろく、彼が本当はどんな出来事に巻き込まれていたのかというホワットダニットとして読み応えがあります。
肩肘張らずに気軽に読める短編集です。ぜひ続編を。
収録作:「ツール&ストール」「サインペインター」「セイフティゾーン」「トラブルシューター」「ショップリフター」
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