恩田陸『チョコレートコスモス』
芸能一家に生まれ、20代前半でありながら注目の若手女優として脚光を浴びている響子。演劇を始めて数ヶ月ながら、天才的な演技で見るものを惹きつける飛鳥。伝説的なプロデューサー芹澤の手によって、2人はめぐりあう機会を与えられた・・・
うーん、序盤がなぁ、って感じ。ネットなどではすごく評判がいい作品なのですが・・・
前半、視点がころころと変わるんですよね。そこで、物語の世界に入り損ねたような気がします。
『ガラスの仮面』へのオマージュから書かれた作品のようですが、僕は『ガラスの仮面』を知らないのです。そのためかどうかわかりませんが、序盤のいろいろな視点が後半でどのように絡むのか予想ができない、というよりも絡むような気がしない。だからまったく別の本を同時進行で読んでいるような気分でした。
逆に後半は響子の挫折や苦悩、嫉妬、そして高揚といった感情がといった感情にかなり読み応えを感じました。また、緊張感みなぎるオーディションシーンも良かったのですが、演技の部分をもう少し短くしても良かったんじゃないかと。だって、4人が演じるオーディションなら4人を書き分けているとはいえ4回同じシーンが現れるわけですから。
うーん、どこか損な読み方をしている気が・・・逆境から立ち直ったエリートと怖さを知らない天才。続きがもちろん気になるのです。でも続編こそ『チョコレートコスモス』ってタイトルが合うような。
【感想拝見】
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