乾くるみ『Jの神話』

 坂本優子が入学した全寮制の女子校・純和福音女学院で、生徒会長として君臨していた朝倉麻里亜が突然亡くなった。しかも原因は子宮からの大量出血であり、残されているはずの胎児は発見されなかった。優子は麻里亜を喪った学院の変容に疑問を感じ、そして朝倉家から依頼された女探偵・黒猫も調査を始めた・・・「ジャック」とはなにか!


 第4回メフィスト賞受賞作。
 読み手を選ぶ作品です。正直なところ、いろいろと噂には聞いていたのであまり驚きはしなかったのですが、それでもとんでもない作品には違いありません。
 ところでこのころのメフィスト賞ってある意味すごいですよね。『すべてがFになる』『コズミック 世紀末探偵神話』『六枚のとんかつ』『Jの神話』ですから。


 さて、全寮制女子校での事件を探る、というだけならあまり珍しくもないような物語です。むしろ昨今流行りの『マリみて』のミステリ版? というとらえ方もできるかもしれません。でも一筋縄ではいかないのが乾くるみ。デビュー作からヘンなところへ着地してくれます。


 展開や結末に賛否両論あるのはともかく、黒猫を始めとして人物の造形がイマイチちぐはぐな感じがしました。取り巻きたちは「取り巻きたち」としてしか扱われていないため、大勢いるはずなのに何か生きていないようだし。
 まあ、こういう作品なので他の人にはオススメしません。初めて読んだ乾作品がこの『Jの神話 (講談社文庫)』だったら、「もう乾作品は読まない」と思ったかも。『J』が初めてじゃなくて良かった・・・

2006年4月26日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
おすすめ平均
starsもう少し、落として書くと面白かった。
starsミステリーという名の仮面
starsエログロ描写で読み手を選ぶ(;'Д`)ハァハァ
starsはぁ?
starsかなり特殊

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