有川浩『塩の街 wish on my precious』
「塩害」の時代、その始まりは巨大な塩の結晶が東京湾を始めとする人口集中地の近くに飛来したのとほぼ同時期だった。塩害は人々を次々と塩の柱に変え、街全体を被い、そして社会機能を麻痺させた。偶然出会った秋庭と真奈は肩を寄せ合うように暮らしてきたが、ある日大きな荷物を背負った青年と出会った・・・
第10回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作、『塩の街―wish on my precious (電撃文庫)』を読了。
うーん、前半がよかった。前半は真奈と秋庭のちょっとミステリアスな関係や、塩害をめぐる人々の悲しみ、切なさなんていうのがよく出ていたような気がします。
それに対して後半は、1冊にまとめることが意識されているのか、強引というか無理やりまとめにかかった印象。あまりにありがちな展開。1冊の物語としては途中で性格が変わってしまったようで、解決策は前半のよさを殺してしまっているかのよう。
作者がどのようにしてこの物語を書いたのかは知らないけれど、想像するにまず2〜3の短編があり、そこからそれを組み込んで長編化を図ったような感じです。
ただし、力量はある方だと思うので今後に期待。『空の中』『海の底』というあたりも読んでみたいと思います。
【感想拝見】
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