友桐夏『盤上の四重奏』
友桐夏さんの『リリカル・ミステリー 盤上の四重奏―ガールズレビュー (コバルト文庫)』を読了。
17年間、閉鎖された広大な屋敷で特別な存在として暮らしてきた少女・都。屋敷を出て塾に通うようになった彼女は、初めてできた友人・璃花と話す中で「特別な生徒」がいるということを耳にした。自分についての情報が外部に漏れているのだろうか・・・
前々作『白い花の舞い散る時間』と前作『春待ちの姫君たち』との間で接点が見受けられなかった「リリカル・ミステリー」。それだけに今回も全くの別物を予想していたのですが、実は『白い花〜』の前段階の物語でした。
それだけに、『白い花〜』をじっくりと読み込んで『[rakuten:book:11684902:title]』と読み比べてみるといろいろな仕組みやカラクリが見えてきそうな気がしますが、残念なことにそこまでじっくり読んでいないし、そもそも『白い花〜』に関しては細部をかなり忘れてしまっているので、この物語については大きく損をしてしまった気分です。
ということで、あまり『白い花〜』を気にせずに読んだのですが、それでも十分に楽しむことができました。
「リリカル・ミステリー」も3作目とあって、最初はどこでどんな風に話をひっくり返されるのか警戒して、まぁ少し腰が引けたような読み方をしていた気がします。
しかし、中盤までは特別な存在である都がどんな塾生活を送るのか、といった半ば学園青春小説のような趣。
そこに「特別な生徒」のことやほかのエピソードがからんでいるような形で、すっかり油断させられてしまいました。文章も読みやすいものだから、つい。
「リリカル・ミステリー」なんですから、油断は禁物だったんですね。『白い花〜』のときほどではないにせよ、かなりの破壊力でした。まさに大逆転。
なんだかこの「リリカル・ミステリー」、結構な大河小説になりそうな気がしてきました。いずれどこかで1つにまとまるような。
あと1つ、キャラがかぶったときにはこういう設定にすれば全く違和感がないんだな、なんて思ってしまいました。むしろ納得ですね。
関連作:『白い花の舞い散る時間』『春待ちの姫君たち』
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