恩田陸『エンド・ゲーム 常野物語』
3日に恩田陸さんの『エンド・ゲーム―常野物語』を読了。
大学のゼミ旅行から戻った時子のもとにかかってきた電話。それは、母暎子が慰安旅行先で倒れたという知らせだった。ホスピスでひたすら眠り続ける暎子だが、脳をはじめ身体には全く異常がない。冷蔵庫に貼ってあった電話番号のメモがなくなっていたことに気づいていた時子は、暎子が「あれ」に「裏返された」と悟った・・・
正直、期待はずれ。
『光の帝国』に所収されていた作品の中では最も緊迫感が漂い、やや異質だった「オセロ・ゲーム」。その拝島一家の長編ということで、「裏返す」「裏返される」の「あれ」とのたたかいを想像していたのですが・・・
途中までは時子にとって誰が味方で、誰が敵なのかよくわからない状態。かなり緊迫していて興味深かったのですが、後半になって読者の予想と期待を欺きだすとともに、何だかだんだんとおもしろさが失われていってしまいました。理屈が理解できてもおもしろくない、興味が持てないのです。
1シーン1シーンは確かにおもしろいのです、特に中盤まで。ところが、それが物語として連続していかないのです。せめて結末がもう少しおもしろければよかったのに。僕の期待まで「裏返された」ような気分です。
【感想拝見】
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