麻耶雄嵩『神様ゲーム』

 26日に麻耶雄嵩さんの『神様ゲーム (ミステリーランド)』を読了。


 神降市で連続猫殺害事件が発生。小学4年生の芳雄は、浜田町の仲間たちと結成している『浜田探偵団』で犯人探しに乗り出した。一方、芳雄は掃除当番をきっかけに転校生の鈴木君と言葉を交わすようになる。鈴木君は自分のことを「神様」であるといい、事件の犯人の名をあっさりと告げた・・・


 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための―」と銘打たれた講談社ミステリーランド第7回配本。
 って言うか、これ少年少女が読んじゃだめでしょ。お子様向けにしてはあまりにも酷い内容です。まぁ、このシリーズで彼が執筆者のメンバーに入っている時点で覚悟しなくてはいけないでしょうね。


 さて、この作品の特筆すべきところは「神様」というガジェットを扱っていることでしょう。
 僕は、ごく一般的なミステリの展開は「事実と思われるものの積み重ね」→「真相」というものだと思っています。そしてこの「事実と思われるものの積み重ね」が不確定だからこそ起こるものがどんでん返しであり、推理合戦ではないかと。
 ところが、この『神様ゲーム』では絶対的な存在である「神様」を用いることによって、本来「事実と思われるものの積み重ね」であるものを「事実の積み重ね」に確定してしまい、推理の余地をなくしてしまっています。神様が告げたことはすべて真実なのです。神様は絶対なのです。
 ですが、そういった今までとは違った世界を構築しておきながら、作者は自らの手によって最後に「真相」と「事実と思われるものの積み重ね」だけを提示し「事実の積み重ね」を隠すことによって、その世界そのものを「事実」から「事実と思われるもの」に変容させてしまっています。がらりと変わってしまう世界。しかも黒い世界。これこそ麻耶雄嵩の持ち味でしょうか。


 自分でもなんだかよくわからない感想になってしまいましたが、とりあえず言えることは、「あまり子どもには読ませたくない」ということです。

2006年2月26日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ
神様ゲーム (ミステリーランド)
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おすすめ平均 star
starネタバレ注意
star子供にも大人にも衝撃的な結末
star完全に大人向け
stars子供をみくびるなかれ
stars子供向けでなければ・・・

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