米澤穂信『犬はどこだ』

 米澤穂信さんの『犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)』を読了。


 アトピーが原因で銀行勤めに終止符を打った紺屋長一郎25歳。失意のうちに郷里八保に戻った彼が始めたのは、犬探し専門の調査事務所『紺屋S&R(Search & Rescue)』。だが、やってきた依頼は失踪人探しと古文書の解読。彼は「探偵」にあこがれる後輩のハンペー(半田平吉)と手分けして仕事に当たるが、失踪した佐久良桐子はとんでもないことに巻き込まれ、不可解な足跡を残していた。


 『さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)』に続く「ミステリ・フロンティア」では2冊目の米澤作品。今までの米澤作品はライトノベル・レーベル出身らしい傾向があったのですが、今作は打って変わってソフトボイルド*1といった感じ。不安が大きく、正直なところあまり期待していませんでした。が、これはとんでもない間違いだったのです。


 主人公紺屋と相棒(?)ハンペーのパートが交互に語られるのですが、この2人の言動が対照的でおもしろく、当初の予想以上にハンペーが「使える」探偵であることにびっくり。
 また担当している依頼が微妙にリンクしていることになかなか気づかない中盤は若干やきもきさせられますが、テンポよく進む物語と、それにつれてだんだんと緊迫してくる展開にどんどんひきこまれてしまいました。
 ややご都合主義的な展開も見られますがが、あまり気になりません。むしろ、ラストへ持っていく展開に感心してしまいました。どうやら作者の手のひらに乗せられてしまったようです。


 読者を選ばず、万人にオススメできるミステリ。特に若竹七海さんの葉村晶シリーズがお好みの方は満足されるのでは?


2005年12月4日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ

【感想拝見】

おすすめ平均
stars〈紺屋S&R〉の初仕事
starsラストはちょっとホラー?なミステリーです
stars紺屋S&R・開業
stars好き(≧ω≦)b
stars「よって件の如し。」にはならなかった事件

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*1:ソフトなハードボイルド、という意味でよいでしょうか