ほしおさなえ『天の前庭』

 ほしおさなえさんの『天の前庭 (ミステリ・フロンティア)』を読了。


 長い眠りから覚めた中里柚乃。彼女は交通事故に遭い、9年間眠っていた。しかも、記憶喪失に陥っていたのだ。記憶回復の手がかりは、かつて彼女が書いたらしき日記。しかし、友人たちは日記に登場する柚乃と瓜二つのユナのことを知らないという。


 かつてshiba_motoは『ヘビイチゴ・サナトリウム (ミステリ・フロンティア)』の感想にこんな表現を使いました。

謎が謎を呼ぶかのよう
最後の最後まで次々と謎が現れ
正直なところ物語を追うのに精一杯


 今回もこの言葉をそのまま使えそうな気がします。やっぱり、ドッペルゲンガーやタイムスリップ、宗教団体等いろいろな要素を欲張って詰め込みすぎている気がするのです。
 物語としてはなかなかおもしろく、特に前半は青春小説として楽しく読ませてもらいました。こういう話は結構好きなんです。
 ただし、後半は読みすすめるほど複雑になってしまってすっかりお手上げ状態。もう少しすっきりとしたエンディングになればよかったかもしれませんね。
 ほしおさんはおそらくこれからもこういう路線の作品を書いていくのでしょう。いや、書いていってほしいと思います。shiba_motoが読むかどうかは別の問題として。

2005年10月24日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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