東野圭吾『時生』

 1年ほど前にドラマ化された東野圭吾さんの『時生 [ 東野圭吾 ]』を読了。


 宮本夫妻は不治の病を患う息子・時生の最期に立ち会おうとしていた。深夜の病院で、夫・拓実は妻・麗子に向けて語りだした。
「ずっと昔、俺はあいつに会ってるんだ」
 20年以上前、拓実はトキオと名乗る謎の青年とともに、失踪した恋人・千鶴の行方を追っていた・・・


 うまいっ!
 この傾向の東野作品にハズレはないと、あらためて確信。
 物語の大筋は、1979年を舞台とした拓実の恋人・千鶴の追跡と救出劇なのですが、そこにトキオが現在(というか1979年から見た未来)のことをチラチラと見せるので、読者としてはどんなに1979年の物語にのめりこんでも現在時生や宮本夫妻が置かれた状況が常に記憶のどこかにあるような状態でした。
 また、冒頭から最終的に時生がどうなるのかある程度予測がつくので、トキオの言動に納得し思わず「うんうん」とうなずいてしまいます。


 全体として、宮本夫妻と時生の関係(拓実とトキオ)はもちろんのこと、拓実と父母のことなど親子関係に焦点が当てられていて、これが物語に奥行きというか重みを加えています。
 結末も最後の一行でピタッときれいに決まっていてよいのですが、ちょっときれいに決まりすぎているかもしれません。
 ドラマを見た方にもぜひ読んで欲しい1冊です。

2005年10月7日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
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starヘタレ主人公の豹変
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