橋本紡『毛布おばけと金曜日の階段』

 橋本紡さんの『毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫)』を読了。


 父は交通事故で亡くなり、母はそのショックで心が壊れてしまった。そして、美人で明朗快活、品行方正なお嬢さんだった大学生の姉は、父が亡くなった金曜日になると階段で「毛布おばけ」になってしまう。姉のさくらとその彼氏の和人、そして未明の3人で催される金曜日の階段の踊り場でのお茶会。未明にとって、それは「家族」を感じることができる瞬間だった・・・


 やさしい気持ちになれる短編集。「みちのながてをくりたたね」「花火の下、きみの微笑みを」「缶コーヒーの行方」の3編が収録されています。それぞれに未明から真琴(♀)、さくらと和人、未明と都築(和人の友人)の恋が中心として描かれているのですが、この恋の行方はあくまで添え物。揺れ動き迷う未明や和人が心を癒し、家族としての温かみを感じることができる金曜日のお茶会と3人の関係こそが主題だと思いました。それぞれに事情を抱える3人の強さと脆さがよく出ています。
 また、高校生である未明と和人の描写がリアルで、共感できるところが多々ありました。『半分の月がのぼる空』でもそうですが、こういった年頃の人物描写が本当にうまいですね。
 続編を期待したいところなのですが・・・もう書かないのかな。新作の『猫泥棒と木曜日のキッチン』は同じ七曜日シリーズでも続編とは違うみたいだし。


収録作:「みちのながてをくりたたね」「花火の下、きみの微笑みを」「缶コーヒーの行方」

2005年8月15日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
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毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫)
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starsこの姉ちゃん・・・萌える
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