米澤穂信『クドリャフカの順番』

 2泊3日の研修中に米澤穂信さんの『クドリャフカの順番―「十文字」事件』を読了しました。


 いよいよやってきたカンヤ祭。だが、古典部は30部発注した文集『氷菓』が200部も出来上がってしまうという危機的状況に置かれていた。『氷菓』を完売するためには、カンヤ祭の期間中に古典部の知名度を上げて集客しなければならない。奉太郎たち4人はそれぞれにカンヤ祭を楽しみつつ、『氷菓』完売に向け動き出す。
 その頃、カンヤ祭では奇妙な連続盗難事件がおきていた。囲碁部の碁石、占い研究会のタロットカード・・・犯人は「十文字」を名乗っていた。『氷菓』完売のため、奉太郎は店番をしながら「十文字」の正体を推理する・・・


氷菓』『愚者のエンドロール』に続く古典部シリーズの第三作。本作単体でも楽しめるでしょうが、やはり前2作を読んでおくことをお勧めします。現在は入手しやすい状態になりましたので。というか、前2作はここにいたるまでの助走のような気がします。
 カンヤ祭(神山高校文化祭)で予定以上に多い文集を完売するために、ある者はさまざまな部活に宣伝を依頼し、ある者はクイズ大会やお料理大会で古典部の知名度を上げることに努め、そしてある者はかけもちする漫画研究会でいざこざを起こしてしまう・・・文化祭というハレの日のドタバタを、1人称4視点で書き分け、そのかなりの部分が「十文字」事件の解決に向けた伏線として機能しているのです。
 そして、店番の奉太郎とほかの3人をなぜかつないでしまう「わらしべプロトコル」。これがまたおもしろい。ご都合主義と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、なんとなく文化祭でならありそうな気もしないでも・・・しないか。


 学園生活における文化祭を描いた「青春小説」としての面と、連続盗難事件の謎を追う「推理小説」としての面。2つが緊密に結びつくことにより非常に楽しめる作品となっています。
 タイトルは仮題の『四人四色学園祭』のままでもよかった気がします。なにせ『春期限定いちごタルト事件』のあとですから。


 今年は米澤穂信の年。『犬はどこだ』も近いうちに読みたいと思います。


関連作:『氷菓』『愚者のエンドロール

2005年7月27日読了 【9点】にほんブログ村 本ブログへ
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クドリャフカの順番―「十文字」事件
クドリャフカの順番―「十文字」事件米澤穂信

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おすすめ平均 star
starカンヤ祭・開催中
starアクティブな展開がまた、良い
star文化祭はじまる!!
starsたのしい
stars前作までとはまた違う

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