周利重孝『夏の扉』
昨夜、周利重孝さんの『夏の扉』を読了しました。
親友の秀雄が消えた。コンビニ強盗の疑いをかけられたまま。どうやら僕が水死体を見つけたことが、秀雄の失踪の原因のひとつらしい。僕はかつての恋人遙香とともに秀雄を追った・・・
ややたどたどしいような、クセのある文体。瑞々しく、それでいてなんとなく枯れたような雰囲気を漂わせ、見事に僕のツボにはまった感じでした。
夏、海、恋、友情・・・代表的な青春の要素を数多く含み、どこかに樋口有介と似た雰囲気を感じました。浪人生活を続け、秀雄に対する劣等感を感じ、しかも遙香への未練は断ちがたいという主人公誠司。こんなある意味よくあるような設定かも知れませんが、ストーリーの中でうまく消化されていた気がします。読むのが夏の盛りだったらもっとよかったかも。
ミステリとしては謎解きがやや散漫で、いろいろな要素を取り込みすぎたような感じですが、それほど気にはなりませんでした。
新人なだけに今後どういう方向に行くのかわかりませんが、もう一度こんな路線の作品を読んでみたいです。
夏の扉 | |
周利重孝 水曜社 2004-07-24 売り上げランキング : 488458 おすすめ平均 最後まで読んだのだが… 爽やかで脆くて素敵な本 夏の一冊、迷ったらこれ 夏はやっぱり、青春ミステリーでしょう! Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4880651265 rakuten:book:11277192 |