恩田陸『三月は深き紅の淵を』
恩田陸さんの『三月は深き紅の淵を (講談社文庫)』を読了。
幻の本『三月は深き紅の淵を』をめぐる物語。「黒と茶の幻想」「冬の湖」「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「鳩笛」の四部構成のこの本は、たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された自費出版であり、わずかな期間の後、回収されてしまった・・・
全編を通して幻想的な雰囲気が漂う物語です。「待っている人々」「出雲夜想曲」「虹と雲と鳥と」の3つの章は、その雰囲気とミステリアスな謎がちょうどよい感じで、おもしろかったのです。ただ、最後に待っていた「回転木馬」だけは、読みが浅かったのか煙に巻かれてしまったようで、なにやらよくわからないうちに終わってしまった感じです。
いずれ機会を見つけて再読したい作品。そうしないと『麦の海に沈む果実 (講談社文庫)』『黒と茶の幻想 (Mephisto club)』といったほかの作品へもいけない気がするので。
関連作:『麦の海に沈む果実』『黄昏の百合の骨』『図書室の海』『殺人鬼の放課後』
【感想拝見】- 粋な提案さま(2009.03.28追加)
三月は深き紅の淵を (講談社文庫) | |
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