若竹七海『死んでも治らない』

 若竹七海さんの『死んでも治らない (光文社文庫)』を昨日読了。


 元警察官が書いた『死んでも治らない』という本・・・そこにはおバカでおマヌケな犯罪者たちのエピソードが書かれていた・・・それを書いたために、著者の大道寺圭はエピソードのたねである犯罪者たちにつきまとわれてしまう。犯罪者たちの悩みや相談に半強制的にのせられる危険な安楽椅子探偵、大道寺圭の事件簿。


 「死んでも治らない」「猿には向かない職業」「殺しても死なない」「転落と崩壊」「泥棒の逆恨み」の5編の間に「大道寺圭最後の事件」が細切れに挿入されている連作短編集。目次を見ただけでデビュー作『ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)』以来得意としている“あの形式”の短編集だとわかります。


 各短編とも巧妙に伏線が引かれ、それが鮮やかに謎解きへと結実していきます。ユーモアかつブラックそしてビターな味わいが残る作品です。
 個人的には大道寺圭という人物に、なぜかひ弱なイメージを持っていたので(原因不明)、ハードボイルドのような活躍にびっくり! 彦坂夏見嬢や角田港大なども登場、楽しませてくれます。


収録作:「死んでも治らない」「猿には向かない職業」「殺しても死なない」「転落と崩壊」「泥棒の逆恨み」「大道寺圭最後の事件」(1〜6)

2005年2月2日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
死んでも治らない (光文社文庫)
死んでも治らない (光文社文庫)若竹七海
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