乾くるみ『リピート』
今日、というわけではないのですが、『リピート』を読了。
大学生毛利圭介のもとにかかってきた1本の電話。そこから彼にとって「人生のやり直し」がはじまる。10人の仲間と「リピート」して戻る10ヶ月前。
ところが、「リピート」した先の「やり直しの人生」では仲間たちが次々と命を落とし・・・
まいりました。リピートを境に前後に大きく分けることができるのですが、リピート前の不安と好奇心、葛藤といったものがうまく読者をひきつけ、そしてリピート後は一転して一緒にリピートした仲間たちの死の謎解きミステリへと変貌する・・・まさに『リプレイ改版 [ ケン・グリムウッド ]』+『[rakuten:book:11200042:title]』という言葉がぴったりです。(実際、『リプレイ改版 [ ケン・グリムウッド ]』は作中にも登場しますし)
以下ネタバレ注意。
リピート | |
乾くるみ 文藝春秋 2004-10-23 売り上げランキング : 317419 おすすめ平均 ファンタジー的な要素だけでなく、ミステリ的な展開がおもしろい 鮮やかな着地をみせる結末 面白いけれども、コピー負けといった感じもぬぐえない。 消化不良・・・ ジャンル分けが難しい Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4163233504 rakuten:book:11309995 |
まさに思いもよらない真相でした。かなり緻密に伏線が張ってありそうなので、読後にもう一度R9とR10とを比較してみたのですが、正直なところあまりよくわかりませんでした。
ただ、リピートできるのが10ヶ月前へという設定は、おそらく十月十日を意識しているのではなかろうかと。だって、リピートしてから妊娠して、もう一度リピートする前に出産までしてしまったら・・・
ラストは、よくよく考えればR10へリピートしたときの状況から十分にありえること。本来の人生とは違う死に方なんて! 人間の生と死を本当にゲームのように扱っているので、読後感はあまりよくないですね。真相の開示方法と、読後感の2点は前作『イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)』のほうがよかったです。
ちなみに、舞台は平成3年のようですね。4横綱で武豊・メジロマックイーン降着事件ですから。