北森鴻『花の下にて春死なむ』

 ようやく北森鴻さんの『花の下にて春死なむ』を読了。ようやくといっても読みにくかったとか、難しかったからというわけではありません。ただ、読む時間が取れなかっただけ。


 ビアバー「香菜里屋」のマスターである工藤哲也が、常連たちを取り巻く謎を解いていく連作短編集。いや、謎を解くというより、謎解きをそっと後押しするというべきでしょうか。
 日常の謎を解いていく安楽椅子探偵ものであるためか、結論が憶測の域を出ない場合もあります。しかし、その結論はまさに最後でのどんでん返しであって、反論の余地がないものです。限りなく真実に近い憶測とでも言うべきでしょうか。
 なかでも表題作「花の下にて春死なむ」はベストでは? 孤独死を遂げた俳人片岡草魚の戸籍の謎に迫り、同時にその死の床で花開いていた桜の枝からもう一つの事件まで解き明かします。
 そしてもう1つ、謎解きの魅力とは別にこの短編集を通して出されるビールと料理の美味しそうなこと。こんなお店の常連になってみたいものです。


収録作:「花の下にて春死なむ」「家族写真」「終の棲み家」「殺人者の赤い手」「七皿は多すぎる」「魚の交わり」
関連作:『桜宵』『螢坂

2004年11月24日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ


さあ、『桜宵』や『螢坂』も借りてこなくては!
【感想拝見】

花の下にて春死なむ
花の下にて春死なむ北森鴻
講談社 1998-11
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