井上一馬『モンキーアイランド・ホテル』
本当はこんなことしてちゃいけないんだろうな、と思いながら井上一馬さんの『モンキーアイランド・ホテル (講談社文庫)』を読みました。試験が近いのに・・・
「モンキーアイランド・ホテル」「奇跡」の2編による作品集。井上さんといえばボブ・グリーンの翻訳や日記もの、それに英語に関する著作が多い方ですので、こういう作品は珍しいのでは。
2編とも味のある作品ですが、特にお勧めは「奇跡」。落ちぶれた? 作家に「先生の名前で出版してほしい」と女性から送られてきた作品。悩んだ末に出版してしまうが、送ってきた女性は誰なのか? なぜ送ってきたのか? という謎が残って・・・
作中作で告白される盗作の真実。作家と女性が交互に登場する形をとっているので、送ってきた女性が誰なのか、という謎は割合簡単に推測ができます。ミステリのような形体をとっているのですが、読みどころは「謎解き」よりも別のところにあると思います。ぜひ、謎を解こうと考えるよりも、物語を味わってほしい作品です。
収録作:「モンキーアイランド・ホテル」「奇跡」
モンキーアイランド・ホテル (講談社文庫) | |
井上一馬 講談社 2004-01 売り上げランキング : 1220089 おすすめ平均 表題作も悪くないけど、「奇跡」はかなりいい出来です。 Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4062739259 rakuten:book:11226451 |