井上一馬『モンキーアイランド・ホテル』

 本当はこんなことしてちゃいけないんだろうな、と思いながら井上一馬さんの『モンキーアイランド・ホテル (講談社文庫)』を読みました。試験が近いのに・・・


 「モンキーアイランド・ホテル」「奇跡」の2編による作品集。井上さんといえばボブ・グリーンの翻訳や日記もの、それに英語に関する著作が多い方ですので、こういう作品は珍しいのでは。


 2編とも味のある作品ですが、特にお勧めは「奇跡」。落ちぶれた? 作家に「先生の名前で出版してほしい」と女性から送られてきた作品。悩んだ末に出版してしまうが、送ってきた女性は誰なのか? なぜ送ってきたのか? という謎が残って・・・


 作中作で告白される盗作の真実。作家と女性が交互に登場する形をとっているので、送ってきた女性が誰なのか、という謎は割合簡単に推測ができます。ミステリのような形体をとっているのですが、読みどころは「謎解き」よりも別のところにあると思います。ぜひ、謎を解こうと考えるよりも、物語を味わってほしい作品です。


収録作:「モンキーアイランド・ホテル」「奇跡」

2004年10月19日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
モンキーアイランド・ホテル (講談社文庫)
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おすすめ平均 star
star表題作も悪くないけど、「奇跡」はかなりいい出来です。

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