矢作俊彦『ららら科學の子』

 矢作俊彦さんの『ららら科學の子』を読了。人によってさまざまなとらえ方ができる小説だと思いました。


 大学紛争の際に殺人未遂で指名手配になった若者が、中国へ渡り山里でひっそりと暮らす。30年たって彼は蛇頭の船で日本へ帰ってきた。生まれ育った街は30年の間に大きく変貌していた。彼は妹を探し出そうとする・・・


 一種の浦島太郎的な物語。浦島太郎はどうだったか覚えていませんが、少なくとも彼には自分が大切にしなければならない人がいた。それが、最終的には彼を奮い立たせる行動力の源になっています。帰国時の頼りなさげな感じは、再び中国へ渡るときには全くなくなってしまいました。
 読みながら、「最後は成長した妹と会ってハッピーエンド」というのを予想していました。電話での会話だけでなく、そんなシーンも見たかったです。予定調和的かもしれないけれど。
 なんだかうまくまとまりません。もっと年配の、彼と同世代の方が読んだらまた違ったとらえ方ができることでしょう。


 ちなみに、カバーをめくると表紙一面に中国語版の鉄腕アトムのマンガが描かれていて、その一部がくりぬかれたカバーの穴から見えるようになっています。図書館ではわかりませんでした。

2004年10月10日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
ららら科學の子
ららら科學の子矢作俊彦
文藝春秋 2003-09-25
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おすすめ平均 star
star我々は鉄腕Oトムである???
star勉強になった
starハードボイルドなんて無縁だったから
stars!と?
stars読者として私は若すぎた

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