ほしおさなえ『ヘビイチゴ・サナトリウム』

 やっとほしおさなえさんの『ヘビイチゴ・サナトリウム (ミステリ・フロンティア)』を読了しました。


 中高一貫教育の私立白鳩学園で屋上から高3の江崎ハルナが飛び降り自殺をする。やがてハルナとの関係が噂されていた国語教師の宮坂も・・・小説家を目指していた宮坂は、ハルナの協力を得て書き上げた小説で受賞した新人賞を辞退していた・・・


 読了するのに1週間もかかってしまいました。時間が取れなかったこともありますが、そればかりではないと思います。1つには物語が複雑すぎました。謎が謎を呼ぶかのように、ハルナの死の原因から宮坂の死、さらには新人賞受賞作の盗作疑惑・・・等々最後の最後まで次々と謎が現れます。これだけ謎が出てくれば好きな方にはたまらないでしょうが、正直なところ物語を追うのに精一杯で謎解きまではとてもできませんでした。もう1つ、語り手が長くても数ページ単位で代わり、その人数も5〜6人ぐらいになります。そして、それらの語り手よりも死んだ江崎ハルナの存在感があまりにも大きく、人物に感情移入がしにくかったです。このような点から、僕にとっては必ずしも読みやすい小説ではなかったというのが本当のところです。


 しかし、独特の不思議な小説世界はとても魅力的です。コアなミステリファンの方にお勧めします。

2004年8月22日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ
ヘビイチゴ・サナトリウム (ミステリ・フロンティア)
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