宮部みゆき『蒲生邸事件』
今さらながら、ではありますが・・・『蒲生邸事件 (文春文庫)』です。
二・二六事件直前にタイムスリップしてしまった受験生の孝史。素性を隠し、蒲生邸に住み込むのですが、二・二六事件の勃発、蒲生大将の自決と孝史はいやおうなしに歴史の波にまきこまれていきます。戒厳令下の帝都東京、一癖も二癖もある屋敷の人々はそれぞれに蒲生大将の死の真相に迫っていくのですが。
ミステリとしては邪道だという人がいるかもしれません。でも、設定の活かし方は「さすがミヤベ」。物語にどんどん引き込まれてしまいます。何も知らない戦前で人間的に成長していく孝史、思い思いに行動する蒲生邸の人々、そして切ないラスト・・・SF的なミステリが好きな方、戦前・戦中に興味のある方、読んで損はしないと思います。ぜひご一読を。
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